台風の池を/
番田
俺に知らない道は 誰も
存在したのだ
体をさせられて 喜びのような
苦しみでもなく つけて 地に
足を立っていた
窓に風を見つめていると
失ったように 風はそんな場所を吹き付けているのだ
方角を指し示すように思い出して
吹いているのかもしれない池の台風を
そこに見る何かは
微かな誰かの
遠い日に
思い出のようなものを
生ぬるい風を委ねるように そんなふうに
花提灯を出して脳みそを眠りこけている
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