先にあったのは小指一本だけ/こめ
綺麗な砂漠の真ん中で
オンボロなギターを弾き
ラクダと戯れながら
ゆっくり歌を歌っていた
蜃気楼は今日も未来の都市を
ぼんやりとうつしていた
壊れたラジオからは
雑音に紛れてメロディは
隠れながら踊る
1面の砂畑を
駆けるそして倒れこんだ
世界で一番危険な事をやりたい
そうすれば少しは涼しくなるかな
拡散するのは涙の花粉
いくらなんでもそれは絶対
流行してしまうでしょう
大停電の夜の中
小さなロウソクに火をつけ
満開の星空を仰ぐ
奇跡が起きないというなら
起こして挙げましょう
小さな消えそうな思いでも
いつかは叶うと信じて今日も
ベットの中で蹲る
真っ直ぐ伸びたのは一本の紅い糸
たぐりよせてみたけれど
その糸の先にあったのは
小指一本だけでした
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