先にあったのは小指一本だけ/こめ
 
綺麗な砂漠の真ん中で

オンボロなギターを弾き

ラクダと戯れながら

ゆっくり歌を歌っていた

蜃気楼は今日も未来の都市を

ぼんやりとうつしていた

壊れたラジオからは

雑音に紛れてメロディは

隠れながら踊る

1面の砂畑を

駆けるそして倒れこんだ

世界で一番危険な事をやりたい

そうすれば少しは涼しくなるかな

拡散するのは涙の花粉

いくらなんでもそれは絶対

流行してしまうでしょう

大停電の夜の中

小さなロウソクに火をつけ

満開の星空を仰ぐ

奇跡が起きないというなら

起こして挙げましょう

小さな消えそうな思いでも

いつかは叶うと信じて今日も

ベットの中で蹲る

真っ直ぐ伸びたのは一本の紅い糸

たぐりよせてみたけれど

その糸の先にあったのは

小指一本だけでした
戻る   Point(13)