台風一過/吉岡ペペロ
 
町の夕方がきらきらしていた

台風一過のレモンの色で

ほどけた空が明るくなっていた

それを美しいと思えることが

いついかなるときもそうあれるように

三百万年まえも

三百年まえも

ひとは美しいものを

美しいと思いたかったはずだ

夕べ裏切られ

鏡をうしなってしまった僕のように

それを美しいと思いたかったはずだ
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