三階にて/しゅう
放課後の校庭を眺めながら、口笛を吹く。
[guitar]に触れたいけれど、私の指は短いから、
つめを伸ばしても届かなくて、唇を風にたて
るしかない。冷たいよ、もう11月だし、窓を
閉めようとしたら、ノイズ、
ノイズ、ノイズ、足もとから首筋まで突き上
げて踊らされる、視界を両断する振動、皮膚
をめくるほどの轟音に出会って、腰から墜落
していく。校舎は人を産み落としながら、溶
解する、町並みも同様、狭まり続ける視界の
端、誰かが手を伸ばしていた。私の指がそれ
をつかむ、丸いつめを立てる、立てることを
選んだ。垂直に引き伸ばされていく時間、交
錯するノイズ、やけに白い、男の
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