詩想/黒乃 桜
もたれて、ピアニッシモを口に押し込んだ。
「まっず・・」
火を付けて大きく息を吸った後に、ぽつりと呟いて。
酷くご機嫌斜めな夜空を見上げた。
あー今何時だろう、なんてどうでも良い事を考えながらずるずると崩れるようにその場に座り込んだ。
吐く息が、白い。
それが寒さの所為なのか、不味いピアニッシモの所為なのか、分からなかった。
ともかくそのどちらなのか分からない息が心なしか狭くなった視界の中に充満する。
そんなのをぼんやりと見ながら、不意に眠気に襲われた。
寝てしまおうか。少し寒いけど、別に死にはしないだろう、なんて。
そんな事を考えていると、突然目の前に人の顔が現れた。
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