ボリュームコントロール/葛西曹達
なぜこの場所に立っていたかも
思い出せないまんま
表現する難しさに
キリキリと捻じられるようだ
「どこでだって唄える」と
昔の僕が言っていた
戯言なのか真実か
今の僕にはわからない
どうしたらいいのか
わからない
何を信じればいいのか
わからない
ここに響いているのは
かすれてくたびれた唄だよ
ボリュームコントロールも
もう失ってしまった
すべてを聴かれるのは
恐ろしくて切なくて
とっても恥ずかしいことで
それでもまだ唄っていて
なぜこの場所に立っていたのか
思い出せたとしたって
表現する曖昧さに
僕は打ち克てないのかも
それでもただ唄う
ちっぽけでさびれていても
かすれてくたびれていても
これが僕だけの唄だから
僕だけに響くボリュームで
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