午後からの哲学者/捨て彦
夏休み前。暑いけれど、耐えられないほどではない。蝉の声が開いている窓からけたたましく入り込んでくる。風は十五分に一度くらいカーテンを揺らして。くれれば良いほう。
昼食は終わったから後ろの直樹は教科書に隠れて眠っている。僕も少しは眠たいけど、眠るわけには行かないのだ。午後からは思索の時間である。と、決めているのだ。昨日から。なんてか、そんなのは適当な話で、今は歴史の時間である。僕は午後から哲学者を決め込む。って。なんの話だっけ。あれ。眠たいか。目の前にいるのは歴史の高橋。太めのくせに洒落くさっている。それで、生徒を見るときは、真正面から見るんだ。腰を据えて。こいつは。
高橋の授業は面白いと思う。
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