羊と終電/都志雄
神々の舞台装置の奥
冷たい月明かりの夜が
深い淵を照らし出す
凍てつく太陽
麻酔の覚める羊たち
葬るネクタイ
愛って何時?
祖父母と歩いた畔道も
今は闇夜に濡れそぼち
光に眩んだ眼を閉じて
今さら見つける新芽の息吹に
誰かの埋めたアルミの針が
膿んだ心のひだを刺す
ああ
見せてくれ
どこまでも伸び続ける塔からの
はるか《下界》の眺め
ああ
教えてくれ
ぎらついた雲のむこう
螺旋階段の先の先、
奉られた二進法の論理
モアレの連鎖のうねりの中で
蒼ざめたマトリョーシカの奥底まで
あとひと駅
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