指といとなみ/木立 悟
 






降る花 来る花
激しく重なる陽のなかを
昇る道 去る花
むらさきのうた


たどたどしい笑みの端から
午後越える午後 こがねに曲がり
冷たさよりも重く在りながら
すぎる影の軽さに猛る


淵は淵にこだまして
ひとつの屋根に染まる午後
空おおう紙と煉瓦の鳥の
断ち切られた行方を継ぎつなぐ指


ぽつりぽつりとしてきたことを
ぽつりぽつりと忘れゆく午後
曇を数え やがてひとつに
大きな大きな 大きな零に


いとなみが置き去りにする指を
波のように引くいとなみがあり
どこかをどこかへ響かせながら
傷をひとつ連れてゆく


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