金魚/葛西曹達
 

味気ないものだったらどうしよう
風が吹いたら崩れそうな
儚いものだったらどうしよう

「変わらなきゃ」
その声がプレッシャーになって
怖じ気づいて萎縮して

「もし」「たら」「れば」が
頭のなかをぐるぐる回り
始めの一歩を食い止める

いてもたってもいられなくなって
思わず叫んでしまった

今思えば
これが始めの一歩だったんだ

名付けた金魚は
身を賭す前に
何を思ったんだろう

知りたかったことは
そういうことなのかもしれない
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