金魚/葛西曹達
ただ本当のことが知りたくて
でもそれがわかったからって
何かしたいわけじゃなくて
結局なんのために
知りたいのかわからない
名付けた金魚が
身を賭してまで
伝えたかったことって
一体なんだったんだろう
気づかずに僕はだらだらと
捨ても拾いもしない毎日を
ただぼんやり過ごしてきただけ
恐ろしく静かな日常は
底無し沼のようにじわじわと
ちっぽけな体を飲み込んでいく
抜け出せないのか?
這い上がりたいのか?
きっと誰かが
手をさしのべてくれると
甘く思ってたんだ
自分から声も出さずに
本当は
本当のことを知るのが怖かっただけ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)