世界の終わり/within
いが
残念ながら、皆待ってくれない」
「君が辿り着く前に、世界は終わってしまう」
あなたは何様ですか?
わたしは神様です
幼い頃
まだ両親と狭いアパートで暮らしていた頃に見た
大きな影
僕の手のひらに
動かなくなった甲虫をのせた
「君に大事な秘密を託すよ」
干からびた抜け殻は
何か未来への重しのようで
見つからないように
道の脇へ捨てた
自転車のペダルが重くなった
それでも止まらない
夕焼けは影を引き伸ばし
遠く彼方から聞こえる残響のように
次第に途絶えつつあった
目にはうっすらと涙のようなものが
浮かんでいた
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