世界の終わり/within
授業が終わると、真っ先に教室を出る
いつもなら軽音楽部の部室で
とりとめのない話をして
演劇部の発声練習を聞きながら
ひとりの娘の姿を追いかけるのだけれども
夏休みの間、炎天下の中ひたすら肉体労働をして
用意した二十万
今日、フェンダーのストラトキャスターが届く
だが道はひらけていない
冷ややかな爬虫類が舌を出して待ち受ける
「な、千円貸してくれよ」
「ちゃんと返すからさ」
「な、一万でいいからさ」
「俺たち、友達だろ」
と舌を出して僕に巻きつく
結句、財布の漱石はいなくなった
家路に伸びる陰鬱な影
しかしストラトキャスターの到
[次のページ]
戻る 編 削 Point(16)