愛故に/
 


君が最後に口元を動かして言った言葉


―愛してる―


君は確かにそう言った


僕にも妻はいて

君にも夫がいて


許されない恋だった

けれど恋い焦がれた


たくさん愛した


君を…
君の夫から奪い去った


唇、声、指、瞳、匂い、仕草…


そして体までも…


僕だけの君で居て欲しかった…


けれど
そんな恋はいつか終わりが来るものだ…


そう、さよならの時が来たんだ


永遠?


そんなの判らない


けれどさよなら…


君の柔らかい声が脳裏に響く


あの
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