「名」馬列伝(10) ナリタハヤブサ/角田寿星
 
王賞は、ダート日本一の座を賭けて争うにふさわしいレースだった。


生産者は「まず芝向きだと思っていた」と語る。バランスのいい、垢ぬけた馬体。
ただこの馬、蹄がとんでもなく脆くて、良馬場では思ったように走れなかった。
蹄鉄の釘さえまともに打つことができなかった。
芝での良績は蹄に負担のかからない湿った馬場の時に限られた。
そして彼はダート戦線へ駒を進めることになる。

逃げ、先行馬が比較的有利なダート戦で、彼は後方強襲の戦法を貫いた。
とても届かないような位置から、毎回差しこんできた。惚れ惚れするスピードだった。
ダート初戦のウィンターSで当時のダート横綱カリブソングを抑え込
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