Infinity/小林 柳
 


空は遥か遠くまで透き通って
あの日よりもずっと現実的です
立ち並ぶ家や 生い茂る緑が
白い光を乱反射しています
眩しいけれど
それでも空を見上げたままでいます
あすこにいる野良猫も じっと動かぬままでしょう


こんな日には
黒く輝く宇宙が見通せます
惑星がいくつも漂う 無限のふるさとが

昨日のぬけがらのような濁った月は
青いクリスタルの端に混じった
場違いな不純物のようです
月はあくまで 控え目でいます


不完全を含んだ完全の中で
何が起きても平気だと
心が開いていきます
この広い空と 溶け合っていくのです
はだかにされて 溶けていくので
[次のページ]
戻る   Point(3)