えこながいた/人 さわこ
り
お湯をかけたり
威嚇したり
すっかりふやけてしまった私のギプスを見て
えこなは「壊れた」と言って眠ってしまった
「あたいは生きてるものにしか興味がないの」
高校時代の担任の葬式でもえこなはそう言っていた
棺桶の周りをぐるぐると回り
壊れていると認識するやいなや帰ってしまったという
えこなが裏声で私の名を呼ぶ
えこなは私を覚えているのだろうか
会うたびに私は自己紹介をしている気がする
私がえこなの方に目をやったときには既に
えこなは紙のようなものに絵のようなものを描いていて
それ以外のことには関心がありませんよという顔をしていた
風邪薬を受け取りまっすぐ
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