えこなとの出会い/人 さわこ
私がえこなに出会ったのは18の冬だった
牛乳を初めて飲んだのよりは後のことだった
えこなは黄色いかばんを肩から提げていた
中から500mlの紙パック容器を取り出し
水をここに入れてくれないかと私にせがんだ
公園にあった蛇口を開き、私は水を汲みえこなに渡した
えこなはその水を一口で飲み干してしまった
駅までの道をふたりで歩いた
公園から駅まではとても距離があったので
私たちはすこし話をした
学校で飼っていたうさぎが逃げたこと
それ以外のうさぎのこと
着ぐるみが好きだけど、高くてとても買えないということ
これからのこと
足や手の甲のこと
好きな本のこと
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