おとずれる時/soft_machine
訪れる
花に雨が降る
雨が花になる
街の上に街が築かれ
静かに砂漠が拡がる
男が銃を構え
暗闇に光る瞳に狙いを定める
女が菜箸で
大根を返す
・
時は自分の心に気づいたあの日
見えない筈の真昼に流星を見る
時は君の子どもの名前を共に探した
私達を名付けた親が流したなみだの意味を気づく
あの日空に返した風船の赤も
途中どこかに落ちたとしても
時がくれば
いつかまたこの空に帰ってくるのを私は見るだろう
人にあしたがある限り
あかるい結晶になって
夜毎祖母の夢となって枕に滲む時は
予期しえぬ報せで誰かを傷つけた時は
時に自信を失い立ち尽くし
しかしその時に屈することなくまた歩みはじめる
・
時は破壊を司りながら
愛のことばを囁く
鏡の中で向きも変えず
それを私は今この瞬間に例える
まだ見ぬ笑みの子
着床する卵
星の生と死
神々が兆す
遠く拡がる
雨垂れのね
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