One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
 
ミちゃんの自宅に侵入しようという試みだった。おれはこのことを思いついたときに若干ほくそ笑みそうになったけど、極力冷静を装いかつその真意を悟られないように徐々に徐々に発言の立ち位置をおっさん側にシフトしていった。
「んー、まぁ、おっさんの言うことも、分かるっちゃー分かるかもなぁ」
「は?!」
「そうだろう。私もこんなところに放置されては困る」
「いや、なんであたしん家にいれなあかんの?!」
「いやだって、ユミちゃん家そこやし」
「絶対イヤ!なんでこんな得体の知れんおっさんいれなあかんのよ」
確かにそれはごもっとも。
「いやー、だっておれん家に来るよりも女の子の方がええやろ?」
しば
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