みちびき/
木立 悟
崩れ落ちた家のなかに
階段だけが残っていて
空にささやく
みちびきよ
みちびきよ
夜の路の先の先に
地を照らせない街灯があり
空にささやく
みちびきよ
みちびきよ
暗がりを創るひとつの黒が
滲むような輪郭を捨て去り
さらにはっきりと速くなり
鉄の路を遠去かる
歩きつづけるかがやきの失い背に
近づきながら届かぬもの
離れてもなお離れぬもの
みちびきよ
みちびきよ
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