予備校のテニスコート/吉岡ペペロ
 
こしずつ減っていった
夏まえにはシングルの試合しか組めなくなっていた
ぼくひとりになってしまうこともあった
そんなときはサーブの練習をした
ぼくはむしろそれを喜んだ

強烈なサーブがだれもいないコートに決まる
ぼくは『意味』から解放される
いまがベスト、
いまがベスト、
ぼくはそう呟きながらサーブを打ち続けた
いまも事あるごとに出るその口癖は
あの予備校のテニスコートで生まれた


その予備校はいまはもうない
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