予備校のテニスコート/
吉岡ペペロ
こしずつ減っていった
夏まえにはシングルの試合しか組めなくなっていた
ぼくひとりになってしまうこともあった
そんなときはサーブの練習をした
ぼくはむしろそれを喜んだ
強烈なサーブがだれもいないコートに決まる
ぼくは『意味』から解放される
いまがベスト、
いまがベスト、
ぼくはそう呟きながらサーブを打ち続けた
いまも事あるごとに出るその口癖は
あの予備校のテニスコートで生まれた
その予備校はいまはもうない
戻る
編
削
Point
(7)