スパイ女房/青木龍一郎
「はい、じゃあ、としゆき君、春に咲く花といえば?」
「スパイ女房!!」
僕らの季節はそれなりの音を立てながら
狂ったメリーゴランドのように回り続けた。
第三次世界対戦が始まって長い時間が経った。
馬に乗っている時だけ、僕らは戦争を忘れ、笑顔でヨダレを垂らしている。
メリーゴーランドに乗っている最中にラーメンの出前をとると
店の親父はきちんと入園料を払って遊園地に入園し
回り続けるメリーゴーランドステージの上に飛び乗り
僕の馬のところまでちゃんとラーメンを届けてくれた。
僕が受け取ったどんぶりを思い切り投げ飛ばし
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