悲鳴の周波数をあわせて/あぐり
たしの鼓膜を破っていくんだろう、そうだろう
そうに違いない
あなたの たすけて
悲鳴をあげてくれたら
今すぐ起き出して
温もりを振りほどいて
火を点けてあげる
だって
指先だけで救えるものがあると知っているのだもの
わたしは
*
線路を踏みつけていく電車内で
鼓膜が無くなるぐらい大音量のヘッドフォン装備しながら、わたし
今朝棄てるしかなかった大根を思い出している
*
悲鳴を
あげていたのかもしれないわたしもきみもあなたもぜんぶぜんぶが、ぜんぶが
瞼だけが熱を持って
流れ落ちる景色を見つめている
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