セプティエンブレ/吉田ぐんじょう
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空が脱脂粉乳のように
薄く万遍なく引き延ばされてしろい日
うすぐらい部屋のなかで洗濯機を回している
色とりどりの洋服は不要になった皮膚のように
集められ濡らされ浮かんだり沈んだりし
渦を巻く水面はまるでこの世の終わりのようだ
あ
こんな赤いシャツを
こんな黄緑のジャージを
わたしは持っていたんだっけ
それとも勝手に生えてきたのか知ら
何もかも確かではないのね
そんなことは生まれたときから知っているけれども
少し開けた窓の隙間からは
輪郭だけの猫がにゅるんと入ってきては
わたしの足もとを
あわただしく回ってすぐに出てゆく
名前をつける暇がないから
愛
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