ノート(46Y.9・28)/木立 悟
 






白と黒の路地を進むと
木造の小さな小屋があり
入るとなかでは何十人もの
作業衣を着た婦人たちが
机の前で一心に裁縫をしていた
ふと横を見ると別の入口に
一枚の大きな布が風になびいていて
そこには筆で大きく
「あなたには兄がいました
生まれてすぐ川に流されました
あなたがここまでたどりついたら
そのことを知らせるつもりでした」
と書かれていた


布の隙間からは
明るい昼の空地が見え隠れしていた






















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