詩集 『見ることから』 進 一男/渡 ひろこ
 
感性は年齢に捕われない。あくまでも自由だ。そんな当たり前のことを
あらためて認識させられる、そんな印象を持った。
あとがきには「八十四回目の春を迎えて」と記されている。勿論、高齢
に達っしているベテランの詩人の方は多く、珍しいことではない。只ふと
作中によぎる抒情性の初々しさに、年代を超えた「詩ごころ」というもの
を感じずにはいられない。

 雨である/小雨である/私はパリの街角で小雨に濡れる/夢の中でだか
 ら/私にもこのようなことが起こる/私は小雨に濡れながらパリジェン
 ヌを待っている            
                        (「夢について
[次のページ]
戻る   Point(4)