回文は知性の不可逆を駆逐する/竜門勇気
 
;性の広場"に引きずっていき、ベンチに腰掛けカシューナッツを辺りに撒き、仏像を彫り、その仏像(ぱっと見た感じはエルヴィスですが、腕が少し多いので違うな、と感じます)に五体倒地した後、改めてカシューナッツを満遍なく撒き、言った。

「お客様は、鳩なんだよ」

「え」

「みんな同じ、平等。だけど、みんな違う平等を持っている」

空が一瞬暗くなり、耳をつんざく羽音が響いた。
陰が足元から逃げ出し若旦那に集まった。
「その平等は、与える側の責任だ。支払う平等は対価なんだよ。鳩と俺は互いに与え合う。」
笑顔の旦那の姿が鳩の中に消えた。
僕は明日の自分の姿を探してそこを見た。

いきるってことは

「旦那と、鳩なんだ」

ちらりと見えた旦那は優しく鳩を見つめていた。
戻る   Point(1)