愛がない一日/nonya
 

I がない一日でした
アイがない一日でした
自分が留守な一日でした
ただ流されていくばかりでした
土左衛門なのでした

いくつもの橋の下をくぐり
今更ながら橋の憂鬱を知り
壊れたがっていた玩具や小魚と一緒に
能天気な空の欠伸に見惚れていました

EYE がない一日でした
アイがない一日でした
何も見ていない一日でした
闇雲に突き進むばかりでした
手負いの猪なのでした

いくつもの標識にぶつかり
今更ながら標識の怠惰を知り
死にたがっていたバイクや秋風と一緒に
ビルとビルの隙間にある楽園を探していました

愛がない一日でした
アイがない一日でした

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