昌平坂から/……とある蛙
昌平橋から万世橋へ
川面に揺れる提灯の
その先にある柳橋
ゆらりゆらゆら秋の宵
ガード下には赤提灯
ほろ酔い加減のカラスが数羽
家に帰らず蜷局(くだ)を巻き
その先にある止まり木に
慌ててその身を投げ出した。
突っかけ履いて登る坂
明神下から男坂
何段あるか人による
今日こそ数えて登ろうか
昌平橋から聖橋
だらだら登る昌平坂
その先にある地下鉄の
入り口間違え地上に出
御茶ノ水は人だらけ
学生ばかりの街なので
歩くだけで疲れ果て
そのまま電車で逃げようか
旅籠町では音盤(CD)を
買おうと店を訪れた
めあての音盤在庫無く
すごすご駅まで歩いていく
そのまま帰るにゃ早すぎる
しばらくぶらつく秋葉原
派手な電飾呼び込みに
嫌気がさしてつい飲み屋
また振り出しの明神下へ
なじみの居酒屋(とこ)で意地汚く
呑んで飲まれて呑まれて飲まれ
そのまま湯島へおなご狩り
日本語なんぞは要らないで
危ない店もまた楽し
分からぬ歳でもない頃で
笑い話の一つでも
出来れば楽し秋の宵
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