秘密/梶谷あや子
 

寝間着からもれてくる水のにおいが
夜をかけてゆく
つるつると甘皮をはぐ物音も
虫がしんと鳴くともう閉じてしまって
ぼくは波紋に収束する
ことばの様だ
電気じかけなのに
くらやみが本の頁を捲るように
躯の奥まりのことばかり夢にみている
ずっとそれが恥かしいのだ




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