すべては気まぐれみたいに行われるのがイカしてる/ホロウ・シカエルボク
 







ナマの心臓の感触というのはなかなかそうと膝を打てるような言葉にはならないものだ、本来俺たちはそうしたものの動きには無自覚なものだし、そもそも下手に自覚なんかしてしまったら日がな一日胸に手を当てて過ごさなければならなくなる。潔癖症の主婦が薄いゴム手袋と布巾とポリ容器に入った洗剤を終始手にしているみたいに。鼓動というのは多分、無自覚であるようにとあらかじめ設定された事柄のようなものなのだ、何故そんな風に設定されなければいけないのかって?そうだな、それにはいくつかの理由が考えられるよ―例えば世界中のドクターが自分たちの価値を一般市民よりもひとつ上のランクに留めておきたいがため
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