毛虫/ヨルノテガム
 
コンパクトな機器のようなものを取り出し少しいじった

涼しい澄んだ風が一時 吹き抜けて

秋、食欲の秋! 
さあ食欲の秋以外もやって来なさいな風である。
左手が首を掻きむしっていると右手の甲の小指の下らへんに
虫型の赤い筋跡が腫れ上がっているのを知る
皮膚が収縮していくように様態を変え、
何刺されだろう?と何度もこすりつけていると熱を持ち 
ますます異形の文様は刻印されていく
白いタオルの小さな黒塊の その小さな丸黒い顔と目が合うと
少女は目をひんむいて声も出ず 振り払った
体中をあちらこちらひたすら振り払いまわる
少女の白い手の甲は先陣を切って赤く重痒く
発疹のように虫型に焼きただれていく 首元にも
まだ柔らかい痛みの箇所を認識できるとなると
もうその強力さに感嘆さえ覚えるのだった、悪虫 グッジョブ。


少女の午後、
陽気なオカマと共にバスに乗り込む。

右手には隠したい程の
美しいミミズ腫れの痛痒いタトゥ―
















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