新宿/熊野とろろ
 
えてはいなかった
  だってやつら、おとぼけてあまりに愉快だから
  また君に会ったなら教えてあげたい
  滑稽がまるっきりすり替えられて
  気が狂うほど延々、続くんだ

もうすぐ僕は中央線に乗るよ
思うんだ、故郷ってのはひとつじゃないって
生まれ故郷なんざ誰も変えられないけれど
思うんだ、また別にたましいの故郷ってやつがあるんだって
そいつは自分で択ばなくちゃいけないんだってこと

  誰かに話しかけたかった
  「おーい、ここのルールをお聞かせ願いたい」
  夜のガラスに映りこんだ僕の
  もっとも新宿の貌に語りかけていた

  
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