新宿/熊野とろろ
えてはいなかった
だってやつら、おとぼけてあまりに愉快だから
また君に会ったなら教えてあげたい
滑稽がまるっきりすり替えられて
気が狂うほど延々、続くんだ
もうすぐ僕は中央線に乗るよ
思うんだ、故郷ってのはひとつじゃないって
生まれ故郷なんざ誰も変えられないけれど
思うんだ、また別にたましいの故郷ってやつがあるんだって
そいつは自分で択ばなくちゃいけないんだってこと
誰かに話しかけたかった
「おーい、ここのルールをお聞かせ願いたい」
夜のガラスに映りこんだ僕の
もっとも新宿の貌に語りかけていた
戻る 編 削 Point(1)