落日の骨/e.mei
 
からが記号で何処までがわたしなのかはわからないと
独り言を言ったあと
君は僕を拒絶した
双子のいない双子座という新しい記号のなかには水がなく
溺れている人間がいない
僕の部屋に窓がない理由を僕は知っているのだけれど
この部屋を出ていっても流れてしまわないで
君にかえってきてほしいというのは僕のわがままだろうか





 君をうしなってから一年が経つのだけれど、僕は君を失ったのか喪ったのかまだわかっていない。当たり前という言葉がどの記号よりも大きくて、僕は何も考えずそれに甘えてしまっていたのだと思う。またがないことをわかっているのだけれど、僕は君との、またという時間を計算することをやめない。


だから教えてほしい
別れという結論に達した落日の骨が放っている光に
違和感がなかった理由を


僕は一人の夜に目を覚ましては後悔している
僕はなんだって窓のない部屋なんてものをつくってしまったのだろう


扉が開かれた時に侵入する光は窓のない部屋にすぐ散らばって
廊下では
上昇する水位に逆らいながら魚が深く深くに沈んでいる
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