実り/nonya
 

のびやかな風の指先が
大地のたてがみを
慈しむように撫でつけると

さわさわと歓声をあげて
きんいろのうねりが
遥かな山の麓まで駈けていく

約束は果たされた

澱みない自然の営みは
たったひとつの答えをめざして
とうとうと流れ下り
時のほとりでうずくまる者達に
真の豊かさの在処を指し示す

確実に熟れていく
大地の端に突っ立って
背筋を這い上がる
透明な泡立ちを
声にすることもできずに

あおいろときんいろが
尽き果てるあたりの
微かな稜線に想いを馳せる
未だ実ることを知らない
自分がいる

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