薔薇の衣を纏って眠るさなぎ達のための詩/瑠王
花の一生を見る限り
私が一生で答えを得ることはないだろう
捻けた薔薇は私の動脈を受け継いで眠る
彼女が(もしくは彼が)私の引出しの奥の置手紙
血は枯れてしまっても意思の花びらが赤を保つだろう
先駆者達がその子らを私達に残したように
埋もれゆくさなぎは薔薇の衣を纏って眠る
人類は、まだ生まれたばかり
答えを出すにはまだ早すぎる
私は願う
私達が残した種に世界が水を絶やさぬようにと
その種がむしろ絵画的なものではなく
先に絶えてしまった楓の様な掌のひとかけであるようにと
私は願う
私達がゆくあてのない風ではなく
途方もない砂丘の一粒一粒であることを
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