おきてがみ/竹節一二三
暗くなるまえにはかえってきます
さがさないでください
ひふみ
電話のとなりのちいさな紙片にしるし
やわらかな革のサンダルをはいて
砂利をふんだ
わたしはこれからいなくなります
期限つきの家出はいつもたのしい
ポシェットにはハンカチとあめちゃん
536円入ったがまぐち
携帯電話はあえてテレビの上においてきた
いきさきは誰にもつげていない
だから 誰にもあわない
いなくなるまえに
きみにあえばよかった
つかの間の家出でも
すこしだけこわい
ひとつめのあめちゃんをくちに入れ
そのすっぱさに顔がふにゅりとゆがむ
なにを考えていたのか忘れ
電線のうえの青と白をみる
今日の空はせまい
いってきます
鍵をかけて背伸びをひとつ
夏のおわり秋のはじまり
九月はじめての家出
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