それは悲鳴にも似て/相田 九龍
 
君の体の中の、小さな小さな擦れる音が
沢山流れ出して、沢山空気に混ざってるよ
色、みたいなものはなくて、舌触り、みたいなものが
細く遠くまで、伸びて、君は知らない顔をして
花に水をやっている
少し今、太陽が反対に動いたよ
傾いて、テーブルの上から水が零れ出して
声、みたいなものが、床を侵食している

ぜろ、ぜろ、ぜろ、ぜろ

透明な命、みたいなものが、雨の日の傘
僕は微笑むのを笑って、忘れた思い出とか探して
悲鳴だ、これは

焼け焦げた死体が梁に逆さに吊られて
太い木の棒で、メッタ打ちにされて
砲弾が飛んで世界を吹っ飛ばした
ぜろ、
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