涙プールにて/みぞるる
 

吹きすさぶ隙間風を
冷たいと感じてしまうぜいたくのせいだ


 「愛されることが幸福なのではない。
  愛することこそ幸福なのだ。」

そうであるなら
どうしてあたしが
あたしを丸々包み込む水圧に溺れたがるのか
どうしてあたしが
あたしの頬に流れるものを幸せと思わないのか

その答えを
遠くの誰かも囁いてはくれない





悲しいと思うから
悲しいだけだ

誰かが遠くでそう囁いた


最後に触れたあの人の手は未だ暖かすぎて
あたしの隙間は
愛では決して満たされないとわかった

そうしてあたしは
涙のプールに溺れていたい



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