涙プールにて/みぞるる
 
悲しいと思うから
悲しいだけだ

誰かが遠くでそう囁いた

鼻の奥がツーンとして
目の周りがやけどしたみたいに
熱かった





何も知らなかった頃のあたしは
プールで一人っきりになると
潜水ごっこを夢中でこなすことができた

恋を知った頃のあたしは
あの人との遊びを渇望し
触れたい気持ちでいっぱいになる

愛を知ったあたしは
1人プールに佇んで
孤独という言葉に
正面から向き合わなくてはならなくなった





寂しいのはきっと
もう会えないせいではない

この悲しみもいつかは忘れてしまうと
わかっていながら
それでも
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