涙プールにて/みぞるる
悲しいと思うから
悲しいだけだ
誰かが遠くでそう囁いた
鼻の奥がツーンとして
目の周りがやけどしたみたいに
熱かった
…
何も知らなかった頃のあたしは
プールで一人っきりになると
潜水ごっこを夢中でこなすことができた
恋を知った頃のあたしは
あの人との遊びを渇望し
触れたい気持ちでいっぱいになる
愛を知ったあたしは
1人プールに佇んで
孤独という言葉に
正面から向き合わなくてはならなくなった
…
寂しいのはきっと
もう会えないせいではない
この悲しみもいつかは忘れてしまうと
わかっていながら
それでも
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