覚書・かふく/生田
てきたのか、と分かりやすい色合いが半ば定着している。
老年あたりになると、見るに耐えないものやら、荘厳なものやら、なんというか半端なものはめったにない。
面白いことにこの色は男女において明確に違いがあり、青年期以降の下腹で、異性で同じ色をしている下腹はであったことがない。混じる順序が違うのか色が違うのか、量が違うのか、それとも深みか、それは不明である。
男女問わず、年齢問わずの特徴として色に亀裂が走っている下腹がある。私にとって最も興味深いのがこの亀裂である。形状や深さの多様さにも興味を惹かれるが、亀裂の周囲の色や動きはそれよりも興味深い。誤魔化すように色がまだらに変化していたり、晒すように色合いが薄くなっていたりと、亀裂に対してのその人の向き合いようがみえるのである。
人の下腹を観察する際には、鳥や獣を相手に練習を積んでおくことが必要である。何しろ隠しどころである、下手すれば陰部などよりも恥ずかしい箇所であるから、見てない振で眺めるのである。相手に気取られてはいけない。気取られた時点でサッと肌に隠れてしまう。
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