製氷器。午前0時。/あぐり
すぎて心がどろどろしていくのもわかる気がする。声が出るうちにハロー、ハロー。誰も来て欲しくはないけど、誰かには来て欲しい。目からもどろどろ。こちらはすきとおっていて、あつい。でも心の灰の水は濁っていて冷たい。冷たいくせに固まってくれずに布団を汚していく。製氷器、製氷器、手が白く冷たいふちをなぞる。製氷器。隣からの寝息が愛しいくせに、どうして、どうして僕を置いていってしまうのと揺さぶり起こしたくなる程憎らしい。どろどろ。とろとろ。愛しているの不思議。愛も本能なのに、どうして先に寝てしまう?僕は製氷器をひっしと抱きしめて目をゆっくり閉じようとして、何故か宙に浮かぶ冷たい光を追いかける。目を見開く。目を
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