ギター/tutty
 
僕らの声がまだメロディであったころ

あの日の伴奏は誰であったか

幾度かの恥知らずな転調を繰り返し

レコードの針を追いかけてくるくるおどけた

胸の蓄音機が鳴らすあの、雰囲気が

あの人を落ち着かせる湿り気が

あの人の声を聞かせる

柔らかくエコーが

静かなグラスの縁におっかなそうに反響している

安心な思い出は時折くるくる踊りだすのだ

ときどき、笑いかけ

孤独な酒の肴になる

笑みは優しく唇に触れる

僕は君に寄り添うようにギターを弾いておるのだ
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