彼岸/yo-yo
山の裾を ていねいに
両手でならしていた おばあさんの
あれからまた
小さな山が ひとつふえた
新しい山は ひとの形をしている
足のしたで 山は
お腹のように やわらかかった
踏んだらあかん
おばあさんにしかられた
そこには おじいさんが寝とるんやさかい
土の中で 骨だけになっていく
やがて骨だけが掘りだされ うち捨てられ
骨は 骨でなくなって
またひとつ 石の標しになるのだった
まいにち
足ぶみの臼で 玄米をつき
大きな木のへらで 茶がゆをかき混ぜる
ときには鯰をさばき
誰かのために たまご焼きを残して
それからまた ゆっくりと
おばあさんは いつものように裾をからげ
さいごの 骨のひととなるため
小さな山を越えていった
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