道の端/……とある蛙
道の端(はし)にいる僕の上を
季節が素通りし、
時間が頭上を通り過ぎる
そんな僕が立ち止まると
道の反対側には君がいる。
こちら側には僕がいて
反対側には君がいる。
僕の代りに反対側にいるのだ と
言わんばかりに君は僕を睨んでいる。
いくつもの時間が通り過ぎ
いくつもの季節が素通りし
その間ずっと君は僕を見ていたのだ。
僕は目の前の道しか見ることが出来なくて
気づいた時は随分と遠くに来てしまった。
と 小さな声でぶつぶつ呟いている。
僕と一緒に君は歩いているのだが
僕の道は歪んでいるので
相変わらず君は僕の反対側で僕を睨んでいる。
僕も相変わらず、下を向いてぶつぶつ歩いている。
二人で歩いてきたことに気づかず
一人で歩いていたと勝手に思っていた
そんな自分に恥じて
夕陽に照らされた長い影を引き摺って
もう一度一緒に歩けるよう
決心した僕は前では無く
道の中央に向かって歩きだしたのだ。
ゆっくりと
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