じょうろ/ふるる
公園で遊んで忘れたプラスチックのじょうろを
思い出せる自信がない
あの子を呼ぶ老婆の声
飴かチョコレート(とけかかった)
寒さを感じることなく
料理は鍋のふちに背伸びし
あくを注意深く取られる
暑さの中で
不注意深くいくつめかのネジをこぼす
君は明日から来なくていい
家の中にいればいい
夜に這い出てくればいい
とけかかった何かが
顔を覆うので困難なのですよ
上手く飲み込むことができない
キミハアシタカラコナクテイイ
明日からはでは
小さなじょうろを探すことにしましょうか
ママとパパを捜す旅にしましょうか
やまてせんで
おにぎりとチョコレートを持って
味のしないおにぎり
とけ続けるチョコレート
釣り輪で切れる夕日
大きな駅でながれ込んできて車両が水で
いっぱいになる
気泡だけで答えてみる
ワタシハココヨ
あの頃はいくらでも
いくらでも汲めたのに水を
プラスチックのじょうろで
でも今は
溺れる前に
思い出せる自信がない
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