自由詩な葉っぱ緑/海浜百鬼夜行大路/海里
物の怪同士
協定のようなものでもあったのか
逢魔ヶ刻
午後五時が一つの境のようだった
よくまぁこんな海で
と思うような灰色の海から引き上げて
ぞろぞろ歩きを始める海水浴客たち
海の家々は
結界をなして一夏の万里の長城
やかましいメニューと
水着な姐ちゃん兄ちゃんず
とても海へ出ることはできなかった
八月
そうしてやがてまた秋を迎えて
つわものどもが夢のあと
解体されて今は鉄骨ばかりが
妙に見通しのよい海岸通り
その向こうに
潮風や波の音はとっくに戻って来ているけれど
ひとびとはまだ海に群がり止めない
癒されたりない自分の何かを
どうしてもどうしても波間に求めて
いつまでもいつまでも波間に求めて
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