枯葉/本木はじめ
かっていて開かない
ふすまなのに
あなたさまだけですよ
お目覚めになられているのは
わたしはそう言われると
なんだか自分が唯一選ばれた者のような気分になり
思わずにっこり笑い返していて
屋上への階段へと
足を運んだのです
「おおきな穴ね」
彼女はそう言うと同時に
ぼくの方を振り向きもせず
その暗い穴へと飛び込んでしまった
どこかで聞いたことのある鳥の鳴き声に振り返ると
肥大化した夜のような影がぼくを見下ろしていた
「同じことか」
ぼくは一言つぶやいたあと
彼女を追って穴のなかへと飛び込んだ
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