ロク/小川 葉
 
がやってきて

おうちが幼稚園だもんね
と孫に言って
頭を撫でると
見たことのない顔をして
はじめて息子が笑った
あんなにも素直な気持ちに満ちた
顔を見たのははじめて
のような顔をして
跡継ぎのためにもらわれてきた
養子の父と
その跡を継ぐために生まれた僕は
祖父の遺影を指差して
二人して笑った

祖父のことを
ろくでなしと呼んで
馬鹿にして
そうして涙が出るまで
二人して笑った

やっと自分の人生が
はじまった気が
父としていた
 
 
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